雨のち、木漏れ日。

労災事故の加害者になった今、自分に出来ること。

事故翌日(出社)

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床についてもなかなか眠れず、眠ったかと思うと夢の中でもフラッシュバックがやって来て目が覚める、そんなことの繰り返しで朝を迎え起床しました。

 

いつもの習慣で新聞を取りに行き、地域欄のページを開くと事故の記事が大きく掲載されていて、事故現場の写真に私が写っていました。

 

昨夜、親交のある県議会議員の方に事故状況のあらましを報告し、新聞記事の差し止めができないか試みたのですが、結果は一方的な書かれ方で大きな記事になっていたので、火に油を注ぐ形になったのかもしれません。

 

後述しますが、新聞記事は記者個人の性質にもよるのでしょうが、いじめや集団リンチ的要素を大いに持ちうると思いました。この現実に触れて私は、「全てを受け入れて生きていくしかない。」と心に刻みました。

 

重苦しい気持ちを抱えて出勤し、昨日報告できなかった専務や他のスタッフ達に謝罪しました。一様に沈痛な面持ちであり、苛立つ感情を露わにして応対されるのがとても辛かったです。生きた心地がしないというか、針の筵にいるような気がしました。

 

その後、社長が出社されて一緒に事務所に入り、少しの時間だけ今後の対応策を話し合いました。社長もこの様な経験がないため、どの様に対応したら良いか判断に困る様子で、保険屋さんに問い合わせたり、インターネットで調べられたことを一般論として伝えてくださって、午前9時を過ぎた頃、被災者のご自宅へ向かうため社長と共に会社を出ました。

 

ご親戚一同が集まっておられるなか奥様が応対してくださり、ご自宅の仏間で棺に安置されている故人(被災者)を拝ませていただきました。故人のご兄弟から厳しくお叱りを受けましたが、加害者の私をご自宅に招じ入れていただいたり、故人のお顔を拝見させていただけたことだけでも、過分な対応をしてくださったと思います。

 

そして奥様は、お通夜とご葬儀の日程を教えてくださり、参列を許可してくださいました。

 

改めて私は、故人と会社が良好な関係だったことに深く感謝しました。

 

家中は何かとお取込みの最中であったため、早々に引き取らせていただきました。

 

帰社後、社長と専務と私の3人で、今後考えられる責任の取り方について話し合いました。当然金銭的なことが話題になり、

 

お通夜の時に持参する御香典はどれくらい包んでいけば良いのか?

 

そもそも御香典という形で良いのか?

 

世間一般的な水準でどれくらいの補償額なのか?

 

など、分からないことだらけです。

 

会社側としては、保険屋さんに相談して対応するとの旨を伝えられ、その回答で、被害者は会社と加害者に対して損害賠償を請求できる、香典は会社10万円、加害者10万円を包んでいくということでした。

 

私自身のことを少しお話させていただきます。

 

私はこの会社にお世話になりながら、小さな事業を始めていました。入社する際にその旨もお伝えして、今年1年間週4日勤務という約束で働かせていただいていました。

 

そういう事情から、私自身の事業に関係する皆さんに、当面事業を停滞させる旨をお伝えしました。皆さん新聞記事で事故の端末をご存じで、何となくお互いに気まずさがある感じだったので、用件のみの電話で終えました。

 

そのことがきっかけで、誰かと会う、話をするといったこと一つ一つが恐怖に感じ、どんどん自分の殻に閉じこもっていきました。